もうすぐプロ野球で各チームが新人選手を指名するドラフト会議が行われる。
昔そのドラフト会議でパンチョ伊東さんこと伊東一雄さんという方がアナウンスをされていた。
独特なバリトンの効いた声で選手名を読み上げる。
「第一回選択希望選手 阪神 野茂 英雄 投手 新日鉄堺」という具合に。一度聞くと忘れられない声だ。
学生時代、私はこの方の本に没頭した。
パンチョさんは間違いなく日本一の大リーグ通。私が大学に入学した1997年に出版された「メジャーリーグ紳士録」は見開き2ページに1人、パンチョさん厳選の歴代または当時現役のメジャーリーガーが紹介されていて、そこには大リーグの魅力とパンチョさんの大リーグ愛が詰まっていた。
その中で紹介されているのが「ホゼ・カンセコ」という選手。
ア・リーグMVP、打点王一度、本塁打王は91年フィルダーと同数の44本で二度目のタイトル。1988年には大リーグ史上初の40本塁打・40盗塁を達成したスーパースターと紹介されている。
その後、96年バリー・ボンズ、98年アレックス・ロドリゲスと続く。
アレックス・ロドリゲスに至っては22歳で40-40を達成。
「これはいずれ50-50もいくのでは」と期待された。
結局50本塁打は3度記録するものの、その頃には打線の中軸を担っていたのでそもそも盗塁の機会が少なかった。盗塁は98年の46盗塁が最多。
2006年にアルフォンソ・ソリアーノ、2023年にロナウド・アクーニャ・ジュニアで5人。
大リーグの150年近い歴史でたった5人しかいなかった40-40。
そんな中で、今年50-50を達成するレジェンドが誕生した。それも日本人から。しかもリハビリ中のピッチャー(向こうの実況ではよくそのように言われる)。
パンチョさんは、2002年亡くなられた。
パンチョさん、見てますか。大谷さんがやってくれましたよ。